MPCの歴史の中で初の電池駆動タイプになる「MPC500」。このモバイル型MPCを、トラック制作やライブなど、そして移動中のアイデアスケッチに待機させておくためのサウンドストック作成の有効的手段のひとつとして是非お勧めしたいのが、コンピュータの波形編集ソフトやDAWと併用する方法です。このページではフリーウェアの波形編集ソフト「Audacity(オーダシティ)」をMPC500の波形編集のパートナーとして使うメリットやTIPSなどを簡単にご紹介したいと思います。

■MPC500について
 MPC500は超小型なボディに今までのMPCの機能と12個のPADを搭載。演奏や制作におけるMPC独自のダイナミズムを余すところなく凝縮したMPCの最新機種です。シリーズ初の電池駆動により、場所を選ばない持ち運び可能なモバイル型MPCです。
 サンプルの編集機能は他のMPCと同等で、小型ながら本体ディスプレイのパラメータを確認しながら追い込んでゆく事も勿論可能ですが、コンピュータ上の波形編集ソフトやDAWで編集したほうが視認性などの面から考えても圧倒的に効率がいいのは間違いないでしょう。
 また、MPC500のサンプル(音そのもののファイル)はコンピュータ上で一般的に扱われている「WAVファイル」といわれる物です。コンピュータの波形編集ソフトで編集し、保存したWAVファイル(※1)であればそのままMPC500に持ってきてパッドにアサインして演奏や制作にそのまま使用する事が可能です。

※1 MPC500が読み込めるのは「16bit/44.1kHz」のWAVファイルのみです。

■Audacity(オーダシティ)について
「Audacity(オーダシティ)」はフリーウェアでありながらも優れた波形編集能力を持っています。サンプリングした音を波形表示。視覚的により細かい編集が出来るのは勿論の事、ノイズ除去やイコライザーなど豊富なエフェクトも用意されているのに加え、作者ページで公開されている「VST Enabler」をインストールすることでVSTプラグインを使用し、様々なサウンドに加工/編集する事が出来ます。その豊富な機能の数々はフリーウェアとは思えないほど高機能です。以下のリンクからダウンロードページへ行けます。



Audacity webサイト(http://audacity.sourceforge.net/

■PC上でのエディット
 AudacityはMPC500内部のエディット機能同様に、サンプルの「リバース」や「タイムストレッチ」など基本的な波形編集能力は全て備えています。他にも「ワウ」や「BassBoost」などのエフェクトの他に、クリック音やポップノイズを除去する処理も可能ですので、MPC500でサンプリングしたWAVファイルをコンピュータに移し、MPC500本体だけでは出来ない事、例えば、前述のボップ/クリックノイズの除去機能を使いサンプリング(録音)したボーカルのノイズを取ったり、更に、世間に出回っているユニークなVSTプラグインのエフェクト(アンプ・シミュレーターやピッチ補正系エフェクトなど)を施して、もう一度MPC500に戻すなど、サウンドメイキングの可能性はより大きく広がることでしょう。
 また、Audacityなどの波形編集ソフトの強みとして、より精度の高いトリミング(前後の不必要な部分を削除したり)がパソコンのディスプレイ上で視覚的に、かつ正確に行うことが出来ます。サンプリングしたフレーズやボーカルなどの不要な部分を削除できますので、MPCに搭載しているメモリーが少ない場合などは容量節約の面で大変有効です。

■MPC500とPCをUSB接続
コンピューターでのサンプル編集を終えたら、MPC500とコンピューターをUSBケーブルで接続し、MPC500をUSB接続モード(取扱説明書 第15章「コンピューターとの接続」を参照下さい)にしましょう。画面が「Connected」と表示されたら、お使いのコンピューターにマウントされているはずです。あとはファイルをまとめてあるフォルダを、CFカード(MPC500の本体に挿してあるCFカード)にコピーしてあげるだけです。

■サンプルをパッドにアサイン
PCとMPC500の接続を解除したら、次はMPC500のサンプルをロードして、新規のProgramを作りPADにアサインしていきます。パッドへの割り当て方法は取り扱い説明書の「第12章 プログラム (■パッドにサンプルを割り当てる)」でも詳しく開設してあります。

■徹底的に作り込んだ音をライブやアイデア用のストックとして持ち出す
以上の様に、MPCのサンプルファイルをコンピューターの波形編集ソフトで編集を施し、そしてそのファイルをMPCに持ち込む事で、ライブパフォーマンスやアイデア・スケッチ用のサウンドをデザインする有効な手段として有効活用できることでしょう。Audacityなど波形編集ソフトとMPC500の併用、是非お試し下さい。

- TIPS -
■コンピュータ上でフォルダ作成
PCでサンプルを編集し終えたら、サンプルをまとめて入れる為のフォルダを、パソコン上で作成しておきまましょう。楽器別や曲別、プロジェクト別など、ある程度種類で分けて作ったほうが、MPC500のCFカードにコピーする際にとても便利ですし、なによりファイルの管理もしやすくなります。

■MPC500のファイルネームの付け方について
上記の様に、パソコンで「フォルダ」や「ファイル名」を付ける際には、英数字10文字以内にしておくのをお勧めします。実際には10文字以上のファイルを認識できるのですが、便宜上、画面には省略したファイル名で表示されてしまいます。